更新履歴 SS 聖女の外典 16/01/17 第十話 16/01/08 第九話 16/01/05 第八話 ~~ 15/12/13 第一話
間違っているかも知れないが、第五魔法についての考察を私なりに考察してみた。
そして考えるに当って年頭に置いたのが以下の五つである。
それを踏まえた上で読んで貰いたい。
因みに壮絶にネタバレなので注意されたし。
一、第五魔法は個人単位の時間旅行が可能である。
ニ、ただし個人限定の時間旅行は魔法の副産物に過ぎない。
三、無限もしくはそれに近い魔力総量の上昇。
四、橙子曰く第五魔法は宇宙が抱えるエネルギーにまつわるのが蒼崎の魔法。
五、そしてそれはとっくに異議(せき)を失っていて、姉曰く最悪である。
では早速結論から述べよう。
第五魔法の正体は『無制限の債権の発行と書き換え』ではないかというのが結論である。
この考察を語る上でまず前提となるのが第二魔法の存在だ。
例えば草十郎の死を第二魔法によって否定しようとした場合、まずは草十郎が死ぬ場面まで過去を遡る必要がある。そして草十郎が死んでしまった死の原因を取除く。
こうすれば草十郎の死は回避される。
だがこの行為は平行世界へ旅立った結果である。
有体に言えば、殺した橙子と目撃した有珠は、草十郎が死んだという事実が、回避されたという事態を認識できない。
だが橙子も有珠も、草十郎が死んで蘇生した事実を認識している。
つまり草十郎の死と、蘇生が地続きの同じ世界線で行われているのだ。
では第五魔法による地続きの蘇生とは、具体的にどういう仕組みなのかと言えば、結論として述べた通り、無制限の債権の書き換えなのだと考える。
つまり『ルーンによって身体を真っ二つにされましたよね?じゃぁ死んで下さい』という世界の摂理に対して、『その支払いの期日を勝手に書き換えます』というのが第五魔法の正体なのでは無いかと愚考するのである。
つまり「彼の五分間をどこにやった!!」という橙子さんの問いに対して青子が「遥か未来に置いてきた!!」と答えたのは。
「彼の死の償還をどこにやった!!」→「死の支払い期日を先延ばしにした!!」という風に変換できるのではないかと考えるのだ。(この場合でいうと殺される瞬間ごと明後日に放置してきたと考えるべきだが)
つまり、ルーン魔術によって殺されてしまった草十郎の五分間を、否まだその時じゃないと言って遥か彼方の未来に、支払いの先延ばしをしてしまったのではないか?
こう考えていくと、青子の無尽蔵な魔力にも、橙子さんが激昂した理由にも説明がつく。
物凄いザックリな例を挙げるなら、青子の魔力総量が100だとして、何か魔術を使用しようとした場合、代償に10の魔力を消費するとしよう。この時、10の魔力を支払って得られる奇蹟を、第五魔法という手段(ペテン)を用いて魔力の支払いは遥か未来でお願いします!!とするのだ。こうすればほぼ無限に近い魔力が自由に使えるではないか。
宇宙全体の時間軸でみれば、エネルギーの総量は変わっていない。未来に魔力は支払われるのだから奇蹟は起こせる。ただこれは明らかな負債であり、かつ第五魔法の使用者が望む限り無制限に債権を発行できるところが手に負えない。
この方法で魔力を運用した場合、その支払い期日において債務者の蒼崎青子が存在していなかった場合、魔力は回収不能の不良債権として宇宙全体のエネルギーが消滅するのだとしたら、橙子さんの「お前の重み(身勝手)でこの星を押し潰すつもりか!!」という台詞に説明がつけられるのではないだろうか?
無限のエネルギーのように思えて、実は有限であるとは、最高にあくどい魔法ではないか。
何より青子の「うるさいわね、その時はその時で今度は負債を過去に送ってやるわよ!それなら文句ないんでしょう!?歪みに押し潰されるのは過去だけなんだから!」という台詞も債権という形に喩えて考えれば理解しやすい。
1989年に借りた借金の支払い期日を1980年としてしまえば、支払い期日に永遠に到達することはない。ただ不良債権と化した魔力は、過去にあった出来事(エネルギー)を巻き込んで消滅するだけである。そして現在が確定した上で過去が潰されようと、現在にはまるで意味がない。
第五魔法は負債を主観軸の時間上において自由に行き来させるの奇蹟だとするなら、副産物として第二魔法の一部を第五魔法が含むことにも納得できる。
「青子の――蒼崎の魔法は、その結末を確かなものにするだけだ!その責任をお前は―――!」
第五魔法を持ってしても宇宙の総エネルギー問題は解決できていない。
むしろ宇宙に散らばるエネルギーが有限であることを証明してしまったに過ぎない。
辿りついてしまったが故の第五魔法。
それは何の意義も持たない新たな法則であり、見つからなければ良かったと嘆くに値する最悪の魔法ではないか。
その魔法は正に青子の詠唱通り『秩序は、ここに崩れ落ちた』である。
そしてこれは考察の手段としてかなり外法なので余談として読んで欲しいのだが、第七章のマーサの箇所、久万梨金鹿の語るリョコウバト話が比喩としてかなり活きてくる。
無限とも思える有限の鳥の数、まだ大丈夫と空に向けて撃たれて銃弾。
それは第五魔法の在り方にとても似ているように思えるのだ。
そして何より、どこかで語られていた、橙子さんが復讐として青子名義で借金を作り押し付けたという逸話が、なにやら不器用な姉妹愛のように思えてとても堪らないのだ。
魔術師として誰よりも効率的に魔力を運用できる才能を持った蒼崎青子。
その彼女が、最新の魔術師として、無計画な大量消費を可能とする魔法に辿りついてしまったのは、きっとこの上ない皮肉なのではないだろうか。
以上が私の第五魔法に対する考察だ。
あ、それから、魔法に関しての考察は探せばまだまだ矛盾点が出てくると思うので、正解だとは思わないで下さい。
こんな考え方もあるんだなー、位に留めて、楽しんでくれたら幸いです。
魔法使いの夜の感想についてはまた後ほど書きます。
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